純情青春野郎爆進中!

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第九話 初対面の知人
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日笠のN 「夏休みも近い今日このごろ。」
桐村 「なんでティッシュ買いだめしてんだ?」
鳥居 「違う違う。あれはぜーんぶ福引き。
  1等は… えーっと… ニュー…ニュー… ニューカレドニア!」
湯前 「2等は?」
高須 「横浜の方だったかな」
蛍原 「横浜?」
高須 「そう… あぁ、お前実家横浜か」
湯前 「連絡とってないんですか?」
蛍原 「手紙くらいは出してるよ。週一回くらいかな。
  妹がそーゆーの好きでさ。送れ送れってね」
日笠のN 「さて。
  買い物ついでに福引きをやってきたマスターは…」
マスター 「ただいまー」
桐村 「なんかうれしそうですね」
京野 「ニューカレドニア旅行…なわけないですね。
  商品券でもあたりましたか」
マスター 「フフフ…あまいよ。
  見るがいいっ! 二泊三日の横浜旅行だ っ!!」

高須 「…というわけで、夏の合宿はやっぱり『民宿みなと』で」
味覚発見部一同 「異議なーし」
黒越 「合宿に先生は来るんですか?」
高須 「えーっと… あれ?(蛍原くんに)どーだったっけ?」
蛍原 「えーっと… あれ?(間くんに)どーだったっけ?」
間 「えーっと… あれ?(京野さんに)どーだったっけ?」
京野 「えーっと… あれ?(小音さんに)どーだったっけ?」
小音 「来ないんじゃなかったですかね。たしかこないだ言ってましたよ。
  『先生は夏の合宿はちょいと行けないからな。家族サービスせにゃいかん』とか何とか」
蛍原 「おーっ。 さすが『うごくメモリーカード』のふたつ名をもつ小音さん」
小音 「15ブロックしか記憶できないんですね」
京野 「あたしとしては『うごくパワーメモリー』の方が…」
間 「ところで、今回のテーマってなんすか?」
蛍原 「『横浜中華街を追え!』」
黒越 「ということは、中華ですか」
蛍原 「いや、和食」
黒越 「えっ?」
蛍原 「ジョークです」
京野 「中華…ってことは、涼拌五絲(リャンバンウースー)とか作るんですか?」
高須 「そんな、知名度の低いもの言わなくても…」
京野 「ちなみに涼拌五絲ってのは、
  ハムとかきゅうりとかを使ってる、さっぱりしたあえ物のこと。
  名前は知らなくても食べたことあるて人が多い。 よい子のみんな、わかったかな?」
高須 「え?」
京野 「いえ、なんでもないです」
間 「そういえば、黒越は夏合宿ははじめてだっけ」
黒越 「あぁ。今年入ったばっかだからな。ふつーの合宿なら行ったことあるけど」
間 「そーだな… あ、京野さんと小音さんもはじめてだね」
京野 「そーですよ」
小音 「今から楽しみです…って、…合宿っていつなんですか?」

マスター 「7月30日から8月1日まで… 2泊3日だね」
高須 「えーっ!?」
蛍原 「ちょーど重なってる…」
湯前 「重なってるって… ああ、味覚発見部の合宿ですか?」
高須 「うん… 『民宿みなと』にね」
桐村 「『民宿みなと』? あの、5月に行ったとこですか?」
蛍原 「そう… 君たちと僕が、初めて出会ったところさ」
桐村 「あの出会いから、すべてははじまった。その出会いはあの娘の心を…」
湯前 (無視して)「そっかぁ…重なっちゃってるんだー…。じゃあ、御影屋の方は…」
高須 「うん… 行けないなぁ、残念だけど」
マスター 「そうかー… 『4名様御招待』だから、じゃあ誰かもう一人…」
鳥居 「呼びましたか」
一同 「!?」「えっ!?」
桐村 「とっ… 鳥居!?」
 ◎BGM:鳥居くんテーマ曲「心底鳥居」。
鳥居 「グッドタイミングってやつかな。(アナウンサー風に)こんにちは、鳥居 武です」
桐村 「…まぁ、確かにお前をさそうつもりだったけどな。
  じゃあ、鳥居も、ってことで…」
湯前 「おっけ〜」
マスター 「了解。さ、そろそろ2時半だ。店開くぞ」
桐村・湯前・高須 「は〜い」

高須 「久々に見る景色、、独特の雰囲気」
蛍原 「トンネルを抜けると、そこは横浜だった」
京野 「先輩っ…これが…これがヨコハマなんですねっ!?」
間 「出会いの街、横浜。 ぼくらはここで、何を見つけるのか」
黒越 「そして、何と出会うのか。 …それは これからわかりだす」
小音 「味覚発見部夏合宿は、今、はじまる」
高須 「というわけで、」
味覚発見部一同 「よろしくお願いしまーす」
おかみ 「はい こちらこそ〜」
高須 「お久しぶりです、おかみさん」
おかみ 「お久しぶりです… あれ? えっと… 蛍原さんじゃないですか」
蛍原 「あ お久しぶりです。 実は、あれから高須たちの学校に転校したんですよ」
おかみ 「は〜っ そうなんですか〜。 あ、間さんもお久しぶりです」
間 「あ、どうもっス」
おかみ 「間さん、最近オリエンテーリングはおやりになってますか?」
間 「いや〜 やってないんスよ〜」
小音 (小声で)「ねぇ…ひょっとして先輩たちってすっごい常連なの?」
京野 (小声で)「みたい…。
  …間先輩の趣味がオリエンテーリングってのを知ってるぐらいだし…」
黒越 (小声で)「オレは忘れてたが」
おかみ 「あ、そちらの方は新入部員の方たちですね。はじめまして」
小音・京野・黒越 「あ、はじめましてぇ」「はじめまして〜♪」「はじめまして」
おかみ 「2泊3日…でしたね。 ゆっくりしていって下さいね」
味覚発見部一同 「は〜い」

 ◎街ガヤ。
桐村 「わーい横浜だ横浜だ〜」
鳥居 「うわーっい 中華街 中華街〜」
桐村 「夏休みに入って、約一週間。」
鳥居 「オレらは旅行。その場所は
桐村・鳥居 「ヨコハマ〜っ!」
湯前 「なんか… すっごいハイね〜」
マスター 「ま、旅行だからな。旅行ってのは、人を楽しくさせるもんだ」
湯前 「まぁた そんなこと言ってぇ…」
桐村 「♪りょっこぅ〜 りょっこぅ〜。
  あ ところでマスター。僕らどこに泊まるんですか?」
マスター 「えーっと…(ガサガサ)…『いすか』っていう旅館だね」
鳥居 「いすか?」
マスター 「すずめのなかまだよ。くちばしが上下くいちがってる鳥なんだ」
鳥居 「へ〜っ。」
マスター 「『いすか』でいーすか? なんて…」
 ◎沈黙。
湯前 「お父さん…」
桐村 「マ…マスターが…なんか違う…」
鳥居 「旅行ってのは…人を楽しくさせるもんなんだね…」
マスター 「ゴホン(せきばらい)。 さ、行こうか」

桐村 「さーって、昼だ昼っ!」
鳥居 「2泊3日はいいけど一食もなしなんて… さすが商店街」
マスター 「どうする?もう一度中華街行くかい?」
湯前 「うーん… まぁ、歩きながら決めるってことで」
鳥居 「そーだね」
湯前 「でもさ、中華街に近いとないかなって思ってたんだけど…」
桐村 「なにが?」
湯前 「ほら見て」
店の若者 (遠くで)「はい いらっしゃ〜いっ。おっと葵ちゃん」
少女 (遠くで)「こんにちは〜。 えっと、大根と… あれとこれと」
店の若者 (遠くで)「あいよっ!」
鳥居 「八百屋…かぁ」
マスター 「へぇ… 若い人がやってるんだな」
湯前 「でも、なんかホッとするよ。やっぱり、あーゆーお店は必要だよね」
店の若者 (遠くで)「まいど〜っ。」
マスター 「あ… ちょっと、のぞいてっていいかな?」
湯前 「え? あ うん、いいけど」
店の若者 「いらっしゃい! 何をおさがしですか?」
マスター 「何をってわけじゃないんだけど…
  …へえ。ずいぶん新鮮な野菜だね」
店の若者 「そりゃもう。 ここの近くにゃ畑がありましてね。
  季節ものは全部そこから来てるんですよ」
桐村 「へ〜。 あ、ところで さっきの少女ですけど…」
鳥居 「おっと… 桐村くんは、あーゆー人が好みなのかな?」
桐村 「ちがうわい。 それに中学生ぐらいだったぞ」
鳥居 「あま〜い。愛に年令は関係ないのさ」
桐村 「はいはい」
店の若者 「あの子かい?」
桐村 「ええ。 ほら、こーゆーとこに買い物にくる人って、おばさんとかが多いじゃないですか」
店の若者 「あ なるほど。
  いやね、あの子…葵ちゃんって言うんだけどね、いつもは両親も兄もいるんだけど、
  今は、なんか両親は旅行中で、兄さんと2人で… あ、違う。 兄さんもいないんだ」
湯前 「いない?」
店の若者 「ひとつきぐらい前に、東京の学校に行くってんで、あっちの方のアパートにね」
湯前 「ふ〜ん」
店の若者 「ちなみにお兄さん、葵ちゃんは中学一年生ですよ」
桐村 「いや…だからオレは…」
鳥居 「中一か。たかが四、五歳しか違わないぞ」
桐村 「だからぁっ!話聞けって!」
鳥居 「じゃあ、なんだ。 お前はどーゆー人ならいいんだ?」
桐村 「うっ…」
店の若者 「あーっしまったぁっ!」
マスター 「? どうしたんですか?」
店の若者 「葵ちゃん、こっちの袋おいてっちゃった!」
湯前 「ありゃりゃ」
店の若者 「えっと…まだ見えるか。 おーい葵ちゃーん!」
桐村 「聞こえてませんね」
マスター 「じゃあ、渡してきましょうか?」
店の若者 「あ、そうですか? ん−… じゃあお願いしますね」

少女 「え?」
マスター 「これ。あそこの店に置きっぱなしで…」
少女 「あ、あ〜。 すいません。えっとじゃあ…」
マスター 「あ、持ちますよ」
少女 「あ、すいません…」
桐村 「ずいぶん量が多いんですね。一人分でいいんじゃないんですか?」
少女 「え?」
桐村 「あ、あそこの店でちょっと聞いたもんで」
湯前 「でも、たしかに多いわね… 四人分ぐらいある…かな?」
少女 「あっ いっけなーいっ! またやっちゃった…」
マスター 「というと?」
少女 「いやぁ… 今、うちには私しかいないんですけどね、
  どうもいつものクセで四人分買っちゃうんで…」
マスター 「そりゃもったいない… 冷蔵庫があるとは言ってもねぇ…。
  本当の新鮮さは買ってすぐじゃないと」
少女 「あ、じゃあうちにいらして下さいよ。お昼ごはんでも。
  えっと… 五人分なら、なんとかなりますし」
鳥居 「え…でも…」
少女 「まぁまぁ。いいじゃないですか」
桐村 「…どーします?」
マスター 「うーん… …ま、この際遠慮するのも悪い…かな?」
少女 「きまりですね。じゃ、ついてきて下さいな」
桐村 「はぁ…」
湯前 (小声で)「ねぇ… 桐村くん」
桐村 「ん?」
湯前 (小声で)「あの子… 葵ちゃんだっけ? ……誰かに似てない?」
桐村 「え? (小声で)うーん… そう言われれば、たしかに…。 …だれだろ?」
桐村・湯前 (小声で)「う〜ん…」
少女 「つきましたよ。ここがうちです。 あ じゃあ荷物を…」
マスター 「あぁ、はいはい」
鳥居 「んっ!? お、おい…ちょっとこれ!」
桐村 「どした? …あぁっ!?」
湯前 「なーに? 表札がなにか… えぇっ!?」
少女 「どーしたんですか?」
桐村 「あ… えっと…  あの、君の……お兄さんの名前は?」
少女 「お兄ちゃん ですか? 高浩です。蛍原高浩」
一同 「え―――っ!?」

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