純情青春野郎爆進中!

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第十話 青い横浜
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青柳のN 「夏休みに入りましたねー。
  さて夏休みといえば、合宿です」
湯前 「ああ、味覚発見部の合宿ですか?」
高須 「うん… 『民宿みなと』にね」
青柳のN 「ちなみに、桐村くんたちも」
桐村 「夏休みに入って、約一週間。」
鳥居 「オレらは旅行。その場所は」
桐村・鳥居 「ヨコハマ〜っ!」
青柳のN 「…というわけで、桐村くんたちは御影屋として、
  高須くんたちは味覚発見部の合宿として、
  それぞれ横浜に行ったのでした。
  さて、そんな中、桐村くんたちはある少女と出会ったのです。」
少女 「あ、じゃあうちにいらして下さいよ。 お昼ごはんでも。」
桐村 「あの、君の……お兄さんの名前は?」
少女 「お兄ちゃん ですか? 高浩です。蛍原高浩」
一同 「え―――っ!?」

高須 「…というわけで、四時までは自由行動です。
  四時からは明日に備えていろいろやっておきたいので、それまでには戻ってきて下さい。
  では、解散!」
 ◎ガヤ。外へ。
蛍原 「お〜い、高須ぅ」
高須 「ん? どーした蛍原」
蛍原 「ちょっと付き合ってくれないか? ってそーゆー意味じゃなくて」
高須 「来てくれってことね」
蛍原 「あぁ。ちょっと行きたいところがあるんだ」
高須 「行きたいところって… ははぁ… お前一人で行った方がいいんじゃないか?」
蛍原 「いや…なんつーかな。 久し振りだから気まずいんだよ」
高須 「ま わかるけどな。 わかった、行くよ」
蛍原 「悪いな」
高須 「おみやげでも持ってくか?」
蛍原 「みやげねぇ。ま たまにはそんぐらいやっとくか。
  そーだなー… くるみ割り人形とか買ってくか」
高須 「『くるみ割り人形』?チャイコフスキーの?」
蛍原 「違う違う。 そーゆー置き物でさ、こう…くるみを割れる人形なんだ」
高須 「へぇ…珍しいもん売ってるんだな」
蛍原 「たしか葵が欲しがってたんでね。あとくるみも買っとこか」
高須 「あおい?」
蛍原 「妹だよ」
高須 「へー… いーよな兄妹って。オレひとりっ子だから」
蛍原 「あぁ、そっか。 ま、とにかく行こうや」

桐・鳥・湯・マ・蛍ぁ「ごちそうさまでしたー」
湯前 「おいしかった〜」
蛍原ぁ 「お兄ちゃんに教えてもらった料理なんですよ」
桐村 「へー… 蛍原さんって、そんなに料理上手だったんだ」
蛍原ぁ 「お兄ちゃん、昔は料理人になろうとしてたんですよ。
  中華街で料理の修行したり、喫茶店でバイトしたり…」
鳥居 「ふーん… 今は何になろうとしてるんですか?」
蛍原 「フリーターだよ」
一同 「えっ!?」
蛍原 「なんでもできるからね」
蛍原ぁ 「お… お兄ちゃん!?」
高須 「おじゃましま〜す」
桐村 「高須さん!?」
蛍原ぁ 「お兄ちゃん、なんでここへ?」
蛍原 「なんでって… いちおうここは自分んちだからな」
蛍原ぁ 「そーじゃなくて!」
蛍原 「部活の合宿で、ちょっと近くまで来たもんでな」
蛍原ぁ 「ふーん… あ、お兄ちゃん… 家に入るとき、『ただいま』とか言ってないでしょ」
蛍原 「うっ」
蛍原ぁ 「あいさつは礼儀の基本でしょ! ちゃんとそのぐらい言うの! いい?」
蛍原 「はいはい…わかりましたよ。 ただいま〜。」
蛍原ぁ 「はい おかえり。」
桐村 (小声で)「蛍原さんって… けっこう妹さんに弱いんだね」
鳥居 (小声で)「あぁ… ちょっと意外だな」
高須 (小声で)「というか… これは妹さんに弱いんじゃなくて、妹さんが強いという感じだな」
湯前 (小声で)「それは… 言えるかも」
蛍原 「ところで葵、とーさんとかーさんは?」
蛍原ぁ 「田舎に帰ってる。法事だって。
  …あ、お兄ちゃん、何時ぐらいまでうちにいるの?」
蛍原 「えーっと… 高須ぅ、バスは何時だっけ?」
高須 「ん? えーっと…(パラパラ)三時三一分」
蛍原 「だそうだ」
湯前 「味覚発見部の合宿って、何やるんですか?」
高須 「いくつかの班に分かれて、材料の調達から調理までを。
  で、それを審査してもらうんだ。今回は中華なんだけどね」
蛍原 「しおりによれば…(ペラペラ)明日は一日中それの準備だな〜」
湯前 「あ、その絵かわいー。誰が書いたんですか?」
高須 「これ? これは… 二年の黒越くん」
桐村 「えーっ!? あいつって、こーゆー絵 書くんですかぁ!?」
鳥居 「そーだよ? お前知らなかった?
  こないだのお楽しみ会のプリントの絵もあいつだよ。高井先生が頼んだんだって」
桐村 「そーだったんか…」
蛍原 「あ、そーだ。 ほら葵、おみやげ」
蛍原ぁ 「え? …あ、くるみ割り人形だ〜っ♪ ありがとーっ!」
蛍原 「ふぅ… (小声で)こーゆーとこは、まだ子供なんだよな」

青柳のN 「そして、夜。」
鳥居 「あがり! ストレート リー チル タコ ツー オールパール!」
桐村 「あっ… いや違う!お前、チルとタコが逆だぞ」
鳥居 「あーっしまった!」
マスター 「じゃああがり。アッドナンバー ストレートフラッシュだ」
桐村 「しまった〜!」
湯前 「スペードのA、お父さんが持ってたの〜!?」
マスター 「はっはっは。これで500点を越えたな」
湯前 「も〜… あ、じゃああたしお風呂入ってくるね」
桐村・鳥居 「ピクッ」
湯前 「みんなも入ってきたら?」
桐村 「ん?え?あ… ん−…まだいいや。鳥居は?」
鳥居 「オレもまだでいーや」
湯前 「お父さんは?」
マスター 「んー… そーだな。じゃあちょっと入ってくるか。どっこいしょっと」
 ◎出ていく。
桐村 「…行ったか」
鳥居 「ああ。 よし、行くぞ。
  ってちがーう!なにさせよーとしてんだ! ったく…」
桐村 「自分でやろーとしてたくせに」
鳥居 「うるさい! オレはそーゆーのはいやなの。純粋にいきたいんだよ」
桐村 「ま わかるけどね」
鳥居 「ところで、昼の続きだけど… お前、どーゆー人が好みなんだ?」
桐村 「え?」
鳥居 「いつだったか言ったろお前。湯前さんについて。
  “『いいやつ』以上だけど『好き』ってわけじゃない” …今もそうなのか?」
桐村 「ん… いちおう、『今は』ね。」
鳥居 「『今は』? ってことは…?」
桐村 「いや、別にそんな深い意味はないけどさ」
鳥居 「…ほんとかぁ?」
桐村 「…んー…
  …なぁ。『一緒にいると落ち着ける』ってのは…好きってことになるか?」
鳥居 「え? …んー… きわどいな」
桐村 「そんな感じだよ、オレは」
鳥居 「ふーん…」

京野 「ってことは… あたしは誰とですか?」
小音 「一番だから…高須先輩だよ」
高須 「よろしくー」
京野 「はーい」
蛍原 「しかしな高須… あみだくじで班を決めるっていうのは、何とかならないんか?」
高須 「ん? なんで」
蛍原 「いや… もー少し近代的にさ」
高須 「いーのいーの。 じゃあ和ちゃんは僕と。蛍原は小音さんと。」
小音 「はいな」
高須 「んで、間くんは黒越くんと」
間・黒越 「は〜い」
高須 「今言った班ごとに行動して下さい。細かいことは決めませんが、
  テーマは『横浜中華街をおえ!』なのでお忘れなく。
  それから、昼食は各自でとって下さい」
蛍原 「うちで食べるってのはあり?」
高須 「ま そのへんは各自で判断して下さい。くれぐれも危険なことはしないように」
蛍原 「水とアルミニウムの反応を利用して爆発させるのは危険なことになるかな?」
高須 「なる!」
蛍原 「じゃあ灯油と液体酸素を燃料として爆発…」
高須 「なる! お前くわしいな、そーゆーの」
蛍原 「好きだからね、化学は」
京野 「いや… そーゆー問題じゃないと思いますよ」
小音 「水とアルミニウム? ってことはH2Oと…Alか。そっかそっか…」
黒越 「小音さん… やろうとしてない?」
小音 「え? いやぁそ〜んなことありませんよぉ」
黒越 「…なんかこわいな」
間 「はーい。 何時までに帰ってくればいいんですかー?」
高須 「あ言ってなかったか。えーっとー…
 小音さん、夕食は何時ぐらいになりそう?」
小音 「そうですね… 六時半ぐらいですね」
高須 「じゃあ、六時。 六時までにはここに戻っていること。
  まぁそんなとこですかね。んじゃ今日は寝ましょう。
  あ おやすみ〜」
京野・小音 「おやすみなさ〜い」

蛍原 「なぁ高須。ラジオ持ってきた?」
高須 「え? …あーっ忘れたぁ!
  しまった〜っ『とらばーゆ』が聴けないじゃんか〜っ!」
蛍原 「だろうと思ってな。 ほら。うちから持ってきたよ」
高須 「おーっ! 蛍原、えらいっ!」
間 「じゃあ、そろそろ電気消しますね」
黒越 「え?え? なに完全に消しちゃうの? オレンジ色のちっこいのは?」
蛍原 「ふつー付けないでしょ」
高須 「えーっ 付けて寝ないか?」
青柳のN 「…とまぁ、こんな感じで夜はふけていったのでした」

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