純情青春野郎爆進中!

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第十一話 例えば過去、例えば未来
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間のN 「夏休み、横浜に来た桐村たちは、どことなく青春もよう」
鳥居 「…お前、どーゆー人が好きなんだ?」
桐村 「え?」
鳥居 「湯前さんについて。」
桐村 「『一緒にいると落ち着ける』ってのは…好きってことになるか?」
鳥居 「え? …ん−… きわどいな」
間のN 「…とにかく、そんなこんなで、旅行は二日目をむかえた!」

鳥居 「よっ。 桐村、おはよー」
桐村 「おっはよ〜」
マスター 「ん…ぅぁ…」
桐村 「あマスター。おはようございます」
マスター (寝起き)「や…おはよ…」
桐村 「? …なんか、マスター…いつもと違いません?」
湯前 (遠くから、だんだん近づいて)「寝起きだからねー。お父さん、朝は弱いから…」
桐村 「あ、おはよー」
鳥居 「おはよう」
湯前 「おっはよー。 はいお父さんコーヒー。もらってきたよ」
マスター (寝起き)「ん…」
 ◎コーヒーを飲む。
マスター 「あ〜… ふう、ありがと。 やっおはよう」
桐村 「あ… おはようございますー」
鳥居 「おはようございます」
湯前 「おはよー。
  お父さんはね、朝はコーヒー飲まないとだめなのよ〜」
桐村・鳥居 「納得。」

間のN 「そのころ、東京では。」
 ◎電話鳴る。で、とる。
早野 「はい早野です… あ、高井先生。お久し振りです。
  …え?三日ですか? そりゃいますけど… え?学校に?」
高井先生 「ええ。そういうわけなんで、連絡網ながしておいてくれる?
  うん、女子の方はもう響さんにたのんであるから。じゃ、よろしく〜」
 ◎チーン。
早野 「三日に…か。 えーっと、間の電話番号は、と…。
  早いとこ終わらせて、雑学テストパート2を仕上げなきゃね」

 ◎街ガヤ(中華街)。
高須 「♪〜(鼻歌)
京野 「あのー…高須先輩」
高須 「ん?」
京野 「あたしたち何つくるか、だいたいのイメージってあるんですか?」
高須 「まぁね。ちょいとフカヒレを…」
京野 「フカヒレ〜っ!?」
高須 「いやいや、フカヒレをイメージさせるようなものを作ろうかな、って」
京野 「あ よかった〜… フカヒレ買うようなお金はないですからね、いくらなんでも。
  そーですねぇ… 冬虫夏草でもいれます?」
高須 「フカヒレといい勝負だと思うんだけど… ん?」
京野 「え?」
高須 「…」
京野 「どうしたんですか、高須先輩?」
高須 「え? あ、ごめんごめん。ちょっと、知り合いと似た人がいてね」
京野 「あ〜。あたしもありますよ、そーゆーこと。
  でもこんなに人が多いところだし… 実は本人だったりして」
高須 「はは…まさかぁ。こんな所にいるわけないんだよ、そいつ」
京野 「ふーん」
高須 「えーっと、じゃあ次はあの店」
京野 「はーい」

高須 (小声で)「…だめだ… まだ捨て切れないのか…」

蛍原ぁ 「もうお昼かー…。
  …来るわね…。お兄ちゃんなら、必ず来る…。あのお兄ちゃんが、来ないわけないっ!」
 ◎ドア開く。
蛍原 「あおいーっ。いるかー?」
蛍原ぁ 「(ボソッと)やっぱり。(フツーに)はーい」
蛍原 「ただいまー。 昼 食べに来たけどー」
蛍原ぁ 「予想はしてたわよ… ん?」
小音 「あ、はじめまして」
蛍原ぁ 「あ…はじめまして…。 (あわてて)ちょっ…ちょっとお兄ちゃん!こっちこっち!」
蛍原 「おっと… おいなんだよちょっと」
蛍原ぁ (ニヤリと)「お兄ちゃん…やるわねぇ」
蛍原 「はいぃ? …ちょ、ちょっとまて!違−っう!あのなあ!」
蛍原ぁ (クールに)「なぜあわてる」
蛍原 「あのなぁ… だから説明するとだな、
  昨日言った、部活の合宿のあれで、それでこうで、こうなの!
  いいか!?変な誤解すんなよ!?」
蛍原ぁ 「はーい」
蛍原 「反省の色なしだな」
小音 「仲いいんですね、妹さんと」
蛍原・蛍原ぁ 「え゛〜っ?」
蛍原 「まさかぁ」
蛍原ぁ 「ねぇ?」
蛍原・蛍原あ 「はっはっは」
小音 「…仲いいって」

 ◎ドア開く。
マスター 「ただいまー」
湯前 「あ おかえりー。『みなと』に行ってきたの?」
マスター 「あぁ。明日のこと言っとかなきゃならなかったからな」
湯前 「ふーん…」
マスター 「? どうした?」
湯前 「いや…なんでもないけど?」
マスター 「そーか? そーいえば、少年らは?」
湯前 「奥にいるよ。なんか手紙書いてたみたい。
  見たら悪いと思ってこっち来たんだけどね」
マスター 「ん…そっか」
湯前 「ところでお父さん。…いつも思ってたんだけど…
  …なんで桐村くんのこと、『少年』って言うの?」
マスター 「え… いや、ち ゃんとよぶ時もあるだろ」
湯前 「たまーにね。で、なんで?」
マスター 「…昔、知り合いに『桐村』ってやつがいてね。
  若いうちに病気で亡くなって… それで、思い出しちゃうから」
湯前 「あ… そうだったんだ… ごめん…」
マスター 「冗談だけど」
湯前 「あ… あんのねぇ…っ! ちょっとお父さーんっ!」
マスター 「はっはっは」
桐村 「…何やってるんですか?」
鳥居 「んー… 湯前さんの買ってきたあんまんを、
  マスターが食べちゃったってことで追いかけられてる…
  と、こんなとこかな?」
マスター 「おーっ。なかなかカンが鋭いね」
湯前 「ちがうで しょーっ!」

高須 「は〜っ… いい湯だったぁ」
蛍原 「やっぱ、広い風呂ってのはいーねー」
間 「『風呂は心の洗濯』とは、よく言ったもんですね」
黒越 「あれ? でも、ここって民宿ですよね」
高須 「そうだけど?」
黒越 「ふつう民宿って、風呂はふつうと同じサイズじゃ?」
間 「え?そーだっけ?」
黒越 「違うっけ?」
蛍原 「ま なんにしたって、いいんじゃない?」
高須 「そうそう。なんせここは、『民宿みなと』なんだし」
黒越 「ん〜っ? …んー なんかよくわかんないけど ま そうですね。はっはっは」
高須 「そーゆーこと。さーてとらばーゆでも聴こーっと」
蛍原 「オレのラジオってこと、忘れてないか?」
間 「あれ?とらばーゆって、昼やってるんじゃなかったんですか?」
高須 「東京では、ね。」
蛍原 「横浜だと、どっちかと言えば『横浜放送』で聴いた方が音がいいんだ。
  だから放送時間も違うわけ」
間 「へー」
黒越 「ところで、みなさん何作るんですか?」
三人 「ひみつ〜」
黒越 「なぜ間まで言うっ!?一緒だったろ!?」
間 「あ悪い。ついクセでね」
高須 「作るまでは秘密さ。それがきまり。」
蛍原 「作ってるときにいくらでも見れるけどな。」
高須・蛍原 「はっはっは。」

間のN 「そして、次の日。」
高須 「はーい できあがりー」
桐村 「じゃ いただきまーす」
味覚発見部一同 「えーっ!?」「なにーっ!?」
間 「なっ…なんで桐村がここに!?」
鳥居 「あ これはなかなか…」
高須 「鳥居くんも!?」
湯前 「あ これいーかも」
京野 「湯前先輩!?」
マスター 「あー… あ ほんとだ、うん」
蛍原 「マスターまで!?」
おかみ 「実は昨日ここに来ましてね。
  『審査をやらせてほしい』っておっしゃったものですから」
マスター 「新しいメニューに加えようかな〜ってね」
間のN 「…とまぁ、こんなことがあったものの、とりあえずみんな無事に帰ってきたのだった。
  で、一日たった」

桐村 「うーん… じゃあ、スカイパフェを入れて、『スカイパフェまん』とか」
高須 「いや… それはやめとこう…」
 ◎ドア開く。
湯前 「あ いらっしゃいませー… あ、早野くん」
早野 「ども」
桐村 「早野? へーっめずらしいなぁ、お前が喫茶店だなんて」
早野 「まーね。電話するよりこっちの方が早いと思って」
桐村 「へ?」
湯前 「あ わかった。明日のことでしょ? 留守電に入ってた」
早野 「そ」
桐村 「なにそれ?」
早野 「明日さぁ、学校。」
桐村 「へ? ちょ、ちょっとまて。 オレ別になにもやってないぞ!?」
早野 「いや、そーじゃなくて」
湯前 「二学期になると文化祭すぐでしょ?それの話し合いだって」
桐村 「へ? …ぶん…か…さい?」
高須 「そっか、そーいえば近いんだっけ。あ、じゃあ2−Cは店出すの?」
桐村 「ええ。高須さんは?」
高須 「部活では出すけど、クラスでは出さないんだ」
湯前 「あ、そうなんですか」
早野 「じゃ伝えたよ。鳥居にも言っといてよ」
湯前 「えっもう帰っちゃうの? 何かいらない?」
早野 「『何か』ねぇ… じゃ、ミルクセーキを」
湯前 「おとーさーん、ミルクセーキひとつー」
マスター (遠くで)「ミ…ミルクセーキ!? まいーか… あいよーっ」
桐村 「ミルクセーキとは…こりゃまた…」
早野 「いーの!」

桐村 「はーっ 学校かー…」
鳥居 「早く起きなきゃならんってのがつらいよなー」
桐村 「ま、仕方ない。そろそろ時間だし、行くぞ鳥居」
鳥居 「行ってらっしゃーい」
桐村 「お前もだろ!」

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