純情青春野郎爆進中!

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第十八話 思い出たち
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湯前のN 「高須さんが、うちのバイトをやめることになった」
マスター 「そっ…か。」
高須 「あ、でも、2月になって結果でたらまたやろうと思ってるんですけど」
湯前のN 「そして、ついに高須さんは青柳さんにコーヒー代を返す。」
高須 「…いいよな?」
青柳 「…そうだね」
蛍原 「今日、コーヒー代返したときのアレは、何?」
高須 「あれは2年の時かなぁ。オレと青柳がつきあってるってうわさがたったんだ」
蛍原 「つきあってたのか?」
高須 「ん〜… どうなんだろうな。
  うわさってのは、本当の気持ちまでは伝えてくれないんだよ」

高須(今) 「2年の… 秋だな、たしか。」
安田先生 「文化祭実行委員は、放課後会議室に集合だ。忘れるなよ」
高須(昔) 「…なんて、今日になって言われてもなぁ。えーっと、会議室は… ここか。
  もう来てるかな? …ん?」
青柳(昔) 「あ、どうも」
高須(昔) 「あ、ども… えっと、文化祭の実行委員ですか?」
青柳(昔) 「あ、はい。 …あの、ひょっとして、高須くんですか?」
高須(昔) 「え? そうですけど」
青柳(昔) 「あ やっぱりー。名前は聞いてたけど、こうして話すのは初めてですね〜」
高須(昔) 「はぁ」
青柳(昔) 「はじめまして。 あたしは、E組の青柳です」
高須(昔) 「…え? 青柳!? あの!?」

蛍原 「2年の時から有名人だったんだな、二人とも」
高須(今) 「青柳ってのは、もっと…なんつーか、
  今風の高校生っぽいやつだと思ってたからさ。
  けっこうおとなしい感じの人だったから… 驚いたねぇ」
蛍原 「…おとなしい…?」
高須(今) 「まぁ、外見はな」
蛍原 「…まぁ、そうか。 んで?それからどうしたんだ?」
高須(今) 「2時間くらい、ずっと話してた」
蛍原 「はっ?」
高須(今) 「オレら2人、部屋間違えてたんだよ」
蛍原 「…あぁ、そう…」

青柳(昔) 「いや〜… しかられたねー」
高須(昔) 「そもそも『会議室に集合』なんて言う方が悪いんだよ。
  この学校、会議室12こもあるんだから」
青柳(昔) 「そーよねー。まぁいいわ。そのおかげで高須くんと知り合えたし」
高須(昔) 「別に部屋間違えなくても知り合えただろ」
青柳(昔) 「こんなに話できなかったでしょ?」
高須(昔) 「そりゃそうだな」
青柳(昔) 「じゃあ、あたし教室によらなきゃいけないから。
  今日はありがとね。たのしかった」
高須(昔) 「あぁ」

蛍原 「なんだ。一緒に帰らなかったのか」
高須(今) 「そりゃそーだろ」
蛍原 「まぁ、出会ったばっかだしな」
高須(今) 「…それもあるけど。 そのころは、怖かったんだよ」
蛍原 「怖かった?」
高須(今) 「あぁ…。
  昔、一緒に帰ってるのを見られたことがあってさ。青柳じゃないけど」
蛍原 「昔? …あぁ… 中三…だっけ?」
高須(今) 「そう…。
  まぁ、それからよく話するようになったんだ。 ――電話でね」
蛍原 「電話?」
高須(今) 「そう。向こうは気にしてなかったみたいだけど、…オレがね」
蛍原 「…ふーん…」
 ◎缶ビールあける音。
蛍原 「で? コーヒー代はどうなったんだ?」
高須(今) 「あぁ…」

高須(昔) 「文化祭?」
青柳(昔) 「そう。次の日曜日に、大学で文化祭があるんだって。行かない?」
高須(昔) 「んー…」
青柳(昔) 「ちなみに有野くんと春香ちゃんも来るって」
高須(昔) 「“春香ちゃん”? …あぁ、所沢か」
青柳(昔) 「行く?」
高須(昔) 「そーだな、行くか」

蛍原 「…で?」
高須(今) 「はぐれた」
蛍原 「はっ?」
高須(今) 「いつのまにやら有野と所沢がいなかった」
蛍原 「…それって、はめられたんじゃないか?」
高須(今) 「だろーな。あの2人、あのころにはもうつきあってたし」
蛍原 「へー。ずいぶんながいんだな」
高須(今) 「んで、仕方なくそこらの店に入ったんだ」

 ◎コーヒーショップ(文化祭内)ガヤ。
青柳(昔) 「ごめんねー。まさかはぐれるとは思わなくて」
高須(昔) 「あぁ、いや別に…。 うん。」
ウェイトレス 「ご注文はっ」
青柳(昔) 「んーと… コーヒーひとつ」
高須(昔) 「あ オレも」
ウェイトレス 「かしこまりましたー」
青柳(昔) 「ふー。 でも、今日は楽しかったねー」
高須(昔) 「なんで過去形なんだよ」
青柳(昔) 「あ そっか。えーっと、 …今日は楽しいっ」
高須(昔) 「よろしいっ」
高須・青柳 「…(間)… ははははっ」
ウェイトレス 「おまたせしましたー」
 ◎カップ置く。
青柳(昔) 「そーいえばさ、有野くんって春香ちゃんとつきあってるんでしょ?」
高須(昔) 「みたいだね」
青柳(昔) 「んー… “つきあう”って、どういうことなんだろ?」
高須(昔) 「え? そういうって…」
青柳(昔) 「ただ表面上つきあってるだけ、って人もいるけどさ。そうじゃなくて」
高須(昔) 「うーん…」
青柳(昔) 「どーだろ?」
高須(昔) 「…お互いを、大切な人だと思える関係… じゃないかなぁ」
青柳(昔) 「…なるほどね」
高須(昔) 「ま、つきあってなくてもいーかも知れないけどね、それは」
青柳(昔) 「まあね」
高須(昔) 「…あ、やばっ」
青柳(昔) 「どーしたの?」
高須(昔) 「どーしよー… 帰りの電車賃しかないーっ」
青柳(昔) 「えーっ!? なに、そんなに少ししかもってこなかったの?」
高須(昔) 「あー… そっか、5000円札 家においてきちったんだぁ」
青柳(昔) 「…なんかなぁ」
高須(昔) 「やっべー どーしよ〜…」
青柳(昔) 「うーん… じゃあ、貸すわよ」
高須(昔) 「え? だって… いいのか?」
青柳(昔) 「いいってば。それに、他に方法ないでしょ」
高須(昔) 「…まーね。 じゃ悪い、かして」
青柳(昔) 「は〜い」

高須(今) 「…とまぁ」
蛍原 「ふつうは電車賃かりないか?」
高須(今) 「そーか? まとにかく、そういうわけでコーヒー代借りたんだ」
蛍原 「…で?」
高須(今) 「それからも まぁ何度か出かけたりしてね」
蛍原 「…で?」
高須(今) 「結局ずっと今日までコーヒー代かえさなかったわけ」
蛍原 「そこだよ。
  なんで、今日まで返さなかったんだ?」
高須(今) 「…オレと青柳をつなぎとめるものがほしかったんだ。
  少なくとも返すまでは“無関係”ってことはないだろ?」
蛍原 「…高須…ひょっとして…」
高須(今) 「中3の時に梢が事故で死んで…
  いつかまた大切な人を失ったら、って思うと怖かったんだ。
  だから、人を好きになるってことから逃げてたんだ」
蛍原 「…青柳のこと、好きだったのか?」
高須(今) 「どうなんだろうなぁ…。
  …まぁ… 好きだったんだろうな」
蛍原 「今は?」
高須(今) 「今は別に… って言っても嫌いってわけじゃなくて、
  『異性として好き』ってわけじゃない、ってとこかな」
蛍原 「なるほどね」
高須(今) 「3年前のことがあってから、初めて好きになった人…
  それが、青柳だよ」
蛍原 「…なぁ、高須」
高須(今) 「ん?」
蛍原 「お前、酔ってるだろ?」
高須(今) 「…そーかもな。 なんでオレ、こんなに話したんだろーな」
蛍原 「じゃあ、今度はオレが何か話そうか?」
高須(今) 「じゃあ、京野さんについて」
蛍原 「…それはやめよーって…」

 ◎街ガヤ。
鳥居 「ほら、ついた。 ここだ、桐村」
桐村 「なんで家知ってるんだよ…」
鳥居 「一度行ったんでね」
桐村 「え? 行ったのか?」
鳥居 「あっ」
桐村 「あらあら。 まーいいけどね」
鳥居 「そーゆーふーにとるな! ほら、行くぞっ」
  ◎ピンポ〜ン(ドアベル)。ドア開く(マンション)。
狭山 「はーい… あ、桐村くん鳥居くん」
桐村 「どうも」
鳥居 「…来ました。」

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