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駿河昌樹詩葉・2001年4月
墓碑、霧
遠景へと沈んでいった可能性の妻 ひとりになると青い森は染み出し
残されなかったお前の径は伸びて そこ此処に立つヴェールの亡女ら
流れぬ霧と音絶えた川を眼の奥に 歩くのも忘れきって揺らすうす紙
湿って 妻に届く音も色を戻さず 霧の色うすい一部に甦る雪激しい
晦のあやまち、さらにあやまって 逝く逝かぬ風の死の誕生の淵光り
初めて黒玉のぬめりを我子となし 霧の手より賜れば鳴る荘厳の森?
見えぬまゝに あゝ見えぬままに わずか色うすい手となって寄す霧
湿って 逆巻き登っていく思いの おもて鋭く揺曳する面差しの温み
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